アカペラおとぎき館(a cappella CD Review)

VOX ONE CD Review

一度は解散したものの再結成が話題を呼んだアメリカの混声5声グループ。
オリジナルメンバーは
Jodi Jenkins (soprano)  Yumiko Matsuoka (alto)  Paul Stiller (tenor/Vocal drums)
Paul Pampinella (baritone)   Tom Baskett (bass)  の5名。

5人の人種がバラバラというのは何ともユニーク。
リーダーはセカンド担当の松岡由美子嬢が務める。

彼らの音楽はJAZZ和音を用いつつも、ゴスペル調からR&B系まで幅広く、
特にグルーヴ感に優れたノリと、インテリジェンスさを感じさせる和音構成を見せる。

アルバムは全部で5作(2006年現在)
ベースのTom Baskettはアルバム「Out there」収録後、当グループを脱退し
4thアルバム「Chameleon」ではBenni Chawesへメンバーチェンジを行う。
その後のVOX ONE解散を経て、改めてベースをTomとチェンジし、
結成メンバーを全て揃えて活動を再開。

アルバム「Say You Love Me」、4thアルバム「Chameleon」は当サイトでも一押し。

2006年VOX ONE来日ワークショップは無事終了した模様です。
当サイトでまとめた全日程・開催会場はこちらにログを。

レビューCDタイトル(オススメCDには★)
・ 「Pure Imagination」(2006.03 Release)
・ 「Chameleon」(1998 Release) ★
・ 「Out There」
・ 「Say You Love Me」 ★
・ 「VOX ONE」


Pure Imagination
Pure Imagination

01.Pure Imagination
02.Kind Of a 3
03.Improv 1
04.Simple Gifts
05.Improv 2
06.Try
07.Take Me Out to the Ballgame
08.Improv 3
09.Woodstock
10.Leave It to Me (Or Leave Me Alone)
11.Improv 4
12.Aura Lee
13.Improv 5
14.I Wish
15.You Know


オススメ度:★★★★★☆☆☆☆☆ →オススメ度(評点制)について
VOX ONE5枚目のアルバム。
そして、2005年に再結成後初のアルバムです。

今回のアルバムを言葉で表すなら「難解」であり「前衛的」です。
「Improv(即興)」のタイトルトラックがアルバム中に散りばめられている事から
伺えるように、なんとも象徴的なリズム重視の楽曲が多いです。
この「Improv」に関してはライナーノーツに解説があります。

同じくライナーノーツ内には「North Indian」や「Swahill」等の言葉が付してあり、
これまでのR&BやJAZZ路線から脱したワールドワイドなアルバム構成ともいえるでしょう。
もっともタイトルトラックで伺える通り、ハーモニー重視のトラックもいくつかあります。
(M1Pure Imagination、M6Try、M7Take Me Out to the Ballgame、M12Aura Leeなど)

個人的好みは前述した「North Indian」の伝統音楽であるという
舌が絡みそうなスキャットが印象的なM2Kind Of a 3、
今までの路線だとM14I Wish(このトラックは中盤からノリが良い)が最もVOX ONEらしく好みです。

噛めば噛むほど味が出てくるアルバムではあるのですが、
だいぶ好みの分かれるマニアックな一枚かと思います。
VOX ONE未聴の方は、彼らの他のアルバムから入って今作に辿り着くのが良いかと思います。

ただ他アーティストの最近のアルバムに些かのマンネリ感を覚える中、
こういうスタイルの一枚を出してくれたのは個人的に嬉しく感じるのでありました。

試聴:Pure Imagination / VOX ONE(HMV.co.jp)




Chameleon
Chameleon

01.Chameleon
02.Naima (My Dreams)
03.Moonglow
04.All Blues
05.Danny Boy
06.On Green Dolphin Street
07.You Don't Know What Love Is
08.Over the Rainbow
09.Teen Town
10.'Round Midnight


オススメ度:★★★★★★★★★☆(★9.5くらい)
VOX ONEの4thアルバム。当ページ冒頭で記したとおりベースのメンバーチェンジを行っています。
このヘルプメンバーのBenni Chawesがなかなかの曲者。
まるでウッドベースさながらの音色でメロディを刻んでいきます。
ただ、存在感があったのはやはりTomのベースであったわけで、このあたりは好みが分かれるか。

M4はジャズの巨匠マイルス・デイビスのカヴァー。
道中ベースを前面に出した箇所がありますが、カッティングの音色まで再現している辺りは圧巻。
オクターブの絡みが実に熱いです。

M5は日本でもここしばらくそのメロディを耳にすることが多いDanny Boy。
しっとりと、というよりはどちらかというと熱く歌っていますが、
字ハモも多く、アカペラの良さを感じ取るが出来る一曲。

そして、どこと無く疾走系スウィングでありながら、ボサノヴァの匂いを感じさせるM6。
この辺りが一押しの楽曲。その他M2、M10辺りも好み。

メロディアスな楽曲が多い事、またJAZZのスタンダード曲のアレンジを含む等、
VOX ONEを聴いたことが無い人でも聴きやすいアルバムと言えます。
当サイトオススメの一枚。

試聴: Vox One/Chameleon(HMV.co.jp)



Out there
Out There

01.Searching For You
02.Whisper When I Speak
03.The Eyes Of A Jungle
04.Gone By
05.Save Me
06.The Sky Is Crying
07.Say You'll Always Be
08.That Which You Love
09.Morning
10.Out There


オススメ度:★★★★★★☆☆☆☆
日本向けのアルバム「Say You Love Me」と同時期に米国向けに録音された一枚。
M2「Whisper When I Speak」とM10「Out There」が両アルバムに収録されているのはこの為です。
Say You〜がポップス路線で且つカヴァーソングが多かったのに対して、
当アルバムは大半をオリジナルソングで構成しています。

ワールド的アレンジを行ったM3や、ブルーシーなM6など、
人によってはなかなか取っ付きにくいような気もします。
聴きやすいという面ではやはり「Say You〜」の方でしょう。

しかし、曲最後のパーカスの刻みが圧巻のM4、
メロディアスなR&B調のナンバーM8、
中盤のベルトーンの応酬が利き所のM9は是非とも聴いて欲しいところ。

当アルバム収録の後、ベースのTom Baskettが脱退。
2005年の再結成と共にメンバーに復帰します。


say you love me
Say You Love Me

01.My Cherie Amour
02.Time After Time
03.Say You Love Me
04.Shenandoah
05.Whisper When I Speak
06.It's Too Late
07.Autumn Leaves
08.Lovin'You
09.Out There
10.White Christmas


オススメ度:★★★★★★★★☆☆
当アルバムは日本に向けて録音されたアルバムとの事で、
これと対になるような形で米国向けに「Out There」というアルバムが同時期に録音されています。

出だしのM1(16ビートアレンジ)から当ページ冒頭に書いた
グルーヴ感というのを掴んで頂けるかと思います。

M2はそれに対してゆったりとしたアレンジに。
M4はシンフォニックな雰囲気を出したアレンジ(M4はメンバー外のアレンジみたいですが)

M5とM9は彼らのオリジナルソング2曲です。
M5はアメリカ系のソウルというか黒人系のインスピレーションが濃いように思います。
M9はとにかく冒頭のボイスギターが凄いです。エフェクターで音色をいじくっているみたいですが。
曲自体はロック調で・・・うーん、あんまり好みではないかも。

上で書いたギター云々に便乗して、アルバム中のドラムは
いわゆるボイスパーカッションで行われています。
非常にクオリティが高いです。M7以外は別録りの模様。

個人的に気に入ったものは、後半の字ハモ+二拍三連の部分が利き所。タイトルトラックのM3と
ミドルテンポの4ビートアレンジから後半はしっとりと面持ちを変える、皆様ご存知であろうナンバーのM8。
M7は管理人大好きなJAZZのスタンダードナンバーですが、
何となくシンフォニックな感じがしたので見送り。
ドラムのブラシを使った音まで再現しているのは見事。
ボイスドラムス担当のポール・スティラーは音色が多くて聴き応えアリです。

ざっと曲のラインナップを見てもらっても分かるように、
ポップス(ソウル色の濃いもの)、JAZZ、ゴスペルと彼らのレパートリーの幅広さが垣間見える一枚。

試聴:Vox One/Say You Love Me(HMV.co.jp)


Vox One
01.EDELWEISS
02.MY ROMANCE
03.WHY BLUE?
04.THE WATER IS WIDE
05.RESPECT
06.OL'MAN RIVER
07.MOVE ON
08.MY OLD KENTUCKY HOME,GOOD NIGHT!
09.COULD YOU BELIEVE
10.MISSIN'YOU
11.AMAZING GRACE


オススメ度:★★★★★★★☆☆☆
VOX ONEのデビューアルバム。
1曲1曲として似たような曲がないなぁ、というのが印象。
彼らのレベルは確かに高いんですが、このアルバム自体
インディーズレーベルから出されたアルバムというのもあってか、
若干音程・リズムの乱れが気になります。

01.のはおなじみのエーデルワイスです。
出だしは原曲らしさのあるスローアレンジ。
途中からソウルファンクっぽく変わります。

02.も有名なJAZZナンバーですが、どんどん転調していくのが楽しい。
お気に入りは04.です。原曲はトラディッショナル。
Singers Unlimitedっぽいといえばそうだし。

05.はリードのジョディのノリが聴き所。
とてもクワイア(合唱隊)出身とは思えないファンクっぷりを見せてくれます。
ただ、曲調が変わるところはパート全体の音程が気になるかな。

03.07.10は彼らのオリジナル曲です。
03.はインスト(スキャット)のみの曲。
07.はマイナーで進行していくスローロック。映画とかで使われそうな曲だなぁ。
10.はコーラスのブレイクがカッコイイですね。

09.はこのアルバムの中で一番好きなナンバー。3連バラード。
後半一気に盛り上がるんですが、声質がバラバラでも
音程のよさと歌唱力があればこれだけ響くものがあるんだぞ!みたいな感じが好きです。
(一応誉めているつもりです)
聴き所はデビューアルバムとは思えないくらい多々あります。
とりあえず買って損はないかと思います。

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